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寫眞機萬年堂  - since 2013 -

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2023年 06月 26日

PENTAX MX <その4>

今回はデザインの観点中心に。

デザイン…と云うと、小型軽量で先行した OLYMPUS OM-1 に対抗して投入されたのが MXであり、タテ・ヨコ・奥行いずれも0.5mmずつ下回るサイズという点から「PENTAX の対抗心の強さの程が知れる」という話が有名の様ですね。でもワタクシ的には、この辺りは今回この一連の記事を書き始めて初めて知ったことばかり。

そういう自分にとっては、初回記事 で書いた通り「極めて影の薄い存在」だったのが MX であって、「額(銘板の上)中央に空いた窓が特徴的」だということだけが当時受けた唯一の印象、それも、かなりネガティブに感じていたことを覚えています(← 窓の意味が異なりますが、minolta XD/XD-s のアシメトリーな配置の方が却って気にならなかった)。
PENTAX MX <その4>_c0291635_22372468.jpg

この窓は何かと云えば、「その2」で触れた情報集中ファインダーの、絞り値の光学式直読の為の対物レンズ。因ってど真ん中にあるのは当然なのですけれど、更にその上には「AOCo」スタンプ(勿論、”Asahi Optical Co. LTD” の意)が入っていて、これまた、当時の自分的にニガテな要素でした。バケペンSP の額にもこの MXと同じ意匠が刻まれていて、どうも当時の同社デザインでは「ペンタ部中央に何かを置きたがる」傾向があった様ですね。こういった部分と、かなりクラシックな感のあるバケペンのデザインセンスやら、LXのディティール やら、細かいことを言っているとキリが無いのですが、当時 Nikon・Canon の製品(のカタログ。当時はまだ買っていないので)を見慣れた目からすると、そこにはデザインに関する明確な方向性の違いがあったと思うのです(何れも、個人の昔の感想です。意見には個人差があります、笑)。

ま、ともあれ。当時からつい最近まで、MX と云えば「額の真ん中に窓のあるカメラ」という第一印象だけ、只々 ”それだけ” であり ”それしか” だった自分が、Kマウント唯一の機械式マニュアル機として一体どんなカメラだったのだろう?という気を、齢ン十歳にして此度はやっとこさ、起こしたという次第なのであります。



さぁ、イザ実際に手に取ってみると、小さいという点はモチのロンなのだけれど、何とまぁこんな細かいところにまでという位に「デザインのコダワリ」が窺われるのが MX だ! ということが、初めて知れたのであります。

先ずは、ペンタ部のデザイン。
PENTAX MX <その4>_c0291635_22372324.jpg
LX でのクレイ(粘土)モデルによるデザイン検討の話を聞いたことがありますが、MX のペンタ部は正にそういう造型のイメージ。粘土でなだらかな連続した曲面に成型した頂部、その左右を鋭利な刃物でスパッ!と切り落としたような造型は、この角度から見るのが最も見事。



そしてその造形と呼応するのが、ボディ前面下端の、この小洒落た面取りですよ。
PENTAX MX <その4>_c0291635_22372308.jpg
こんな絞り方をしたカメラって、他に知らないですね。


更には指皿の、レリーズロック(指先で回す)の為の、指掛けの部分。
PENTAX MX <その4>_c0291635_22372330.jpg
普通は、親指と人差し指で摘まんで回す為のギザがあるだけ( Nikon F2 )とか、人差し指一本で操作し易い様に前方に向かってやや尖った形状になっている( Canon FTb )程度のところ、MX ではプラスチックのピース(上から見ると、断面がT字状の)を先端に埋め込んでいる。これは、恐らくデザイン上のアクセントになるということで、勿論その狙いは奏功していてピリッと全体を締めていると思います。けれども、客観的に見ればこれは、操作面では特段FTbと差が無いのにただコストアップ要因になるだけ。

つまり、逆に言えばそのコストを掛けてでも、カメラ全体としての印象、イメージの統一感を、大事にしたかった…ということかと思われます。




という訳で、MX とは「小さなボディ」へのコダワリと同時に、ただ小さいだけではない、「ディティールにも拘りまくって」エレガントさを追求するという、そんなコンセプトのカメラだったのでしょう。これが理解できる迄には、初めて「カメラマン」誌の広告写真を目にした時から随分と長い時間が掛かりましたねぇ…。



( 続く → こちら





# by photographer_you | 2023-06-26 23:57 | ’70s camera
2023年 06月 25日

今日の一枚(その404)

試写その2。
最短撮影距離(0.6m)、こちらも絞り開放。
 今日の一枚(その404)_c0291635_00074651.jpg









( 使用レンズ:MD Rokkor 45mm f2 )




# by photographer_you | 2023-06-25 23:37 | The Moment I Saw
2023年 06月 24日

今日の一枚(その403)

某店店頭(バレバレ、笑)。
 今日の一枚(その403)_c0291635_00212768.jpg








MD Rokkor の準・パンケーキレンズ。絞り開放。
オハナシはまた機を改めて。



( 使用レンズ:MD Rokkor 45mm f2 )




# by photographer_you | 2023-06-24 23:55 | The Moment I Saw
2023年 06月 22日

PENTAX MX <その3>

MX のお話、前回記事 の補足を若干。

「露出計のスイッチはレリーズボタン、巻上げレバーは露出計HoldモードのON/OFF」と書きましたが、「機械制御式(メカニカル)機」であるMXでは、その「Hold」もメカニカルに行われていて、ちょっと面白い。

即ち、本来は
 ・「レリーズボタン半押しで露出計ON」
  →「指を離せばOFF」(=元のポジションに戻る)

…となるところ、巻上げレバーが予備角まで引き出されている場合には
 ・「レリーズボタン半押しで露出計ON」
  →「指を離しても半押し状態のまま」

…になるのです。
 PENTAX MX <その3>_c0291635_23220164.jpg
 PENTAX MX <その3>_c0291635_23220107.jpg

「露出計のスイッチはレリーズボタン半押しでONになる。では、その状態を維持する(Hold)にはどうしたらよいか? そうだ!レリーズボタンが戻らない様に押さえちゃえばオッケーじゃん!」てな感じの思考経路でしょうか。

それでは、この半押しHoldを解除するには?これには2つのやり方があります。
一つは、「巻き上げレバーを格納する」。レバーがHoldに関わっているのだから、これは当然ですね。そしてもう一つは「指皿を(レリーズロック方向に)回す」で、この場合には半押しHoldが解除されると同時にレリーズロックされます(因みに、巻上げレバーはレリーズロックとは無関係に自由に引き出し・格納・巻上げが可能です。まぁ、これは当然でしょう)。

中々凝った造りと云うか…どうしてこういう構成になったのか、大変に興味深いですね。これらの点を自分が比較的良く知っているニコンと比較すると、MX と同じ'70年代後半辺りの機種(例えば F2 )では「巻上げレバー=露出計のスイッチ」(引き出せばON・格納すればOFF)と単純明快。指皿にはやはりレリーズロックの機構があるが、露出計の動作とは無関係(*注)です。本来 Nikon ユーザだからというバイアスもありますが、私には、どちらかと云えば「F2 流」の機構の方が余計な連動の機構も不要でシンプルな様に感じられます。



さて、以上の特徴をまとめると、何が言えるのか。

F2 と MX とを比べた場合、F2 の方は「露出計ON/OFFがレバーの位置に100%依存」するのに対して、MX の場合には「レリーズボタンを半押ししている間だけON・離せばOFF」(=巻上げレバー格納状態)という使い方や、「露出計ONのHoldを、指皿で解除すること」が可能で、つまり、ユーザの好みに合った使い方ができるというメリットが、あると云えばある。

ただ、MX ユーザの大多数がここまで厳密な使いこなしをしているのか?というと、これは大変に疑わしい。それに「使い方を選べる」とは云っても、例えば「(レリーズボタン半押しの間だけON、という使い方の為に)巻き上げ操作の都度、きっちりとレバーを格納する」なんてユーザが果たして実在するのか…!?

LX の項でも触れた様に「PENTAXには独創的な特質」があり、MX の上記の機構についてもその「凝り性」が表れたということの様な気がします。



*注:例外は EL2 で、これはワインダーを装着した場合の都合によるもの(こちらの記事 を参照)。触ったことはありませんが、恐らく Nikomat ELW も同じでしょう。


( 続く→ こちら




# by photographer_you | 2023-06-22 23:52 | ’70s camera
2023年 06月 21日

今日の麺活(陳麻家)

狙っていた店。
今日の麺活(陳麻家)_c0291635_23300659.jpg
(※スマホ写真)




…というのは、(毎度ハナシが長くなるので、多少端折りつつ順を追って説明すると)ある駅の近くでこの味にタマタマ出会ってそれなりに気に入って、4-5回ほど通ったのです。何と言うか、胡麻ダレより胡麻油が勝った感じの香り高い系スープに細め・硬めの麵が合う、ちょっと硬派な甘ったるくない担々麺。ところが、そこが程無く閉店(家の近所という訳でもないので全くそのことを知らず、ある日行ってみたら無くなっていた)。

ガッカリしていたところで程無く見付けたのが、上記の店と同じ系列かどうかは不明(店名は異なる)な2つ目の店。しかし、自分の行動圏内の便利な場所だったのでやはり4-5回通ったこの店も、これまたいつの間にか閉店。その ”2つ目の店”=「陳麻家」というのはチェーン店だ、とこの時期に気付いてはいたので、調べればアッチにある!というのは勿論ワカる。でも、自分にとって地の利が無い店にはなかなか足が向かないもので、その後はコロナ禍もあってすっかり足が遠のいていました。

しかし、閉店した”2つ目の店” からほど近い場所に実は店舗がある!(出来た?)ということに、暫く前に気付いたという次第。漸く本日トライできたので、先ずは目出度し。何度か通ってみたいと思ってます。




# by photographer_you | 2023-06-21 23:28 | Gourmet Today