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2020年 11月 15日

Canon EOS RT<その3>

前回記事で触れた様に、EOS RTではミラーが固定半透過、一部の光だけをファインダーで見ている…ということなので、素人考えでは「ハーフミラーで光の一部をファインダーに?ハーフミラーは固定?じゃあ、ファインダーは相当暗いし、一方で露光にもマイナス影響(=暗くなるから)が出るんじゃないの??」と思ったりするのですが…。

スペック表の様なものが入手できないので正規の話かどうか分かりませんが、聞くところでは半透過ミラーによる光量の配分は 65:35という体操着の様な(笑、ファインダー側が35)比率だそうです。しかしファインダーを見る限り、一般的な一眼レフとあまり差が無い様に思われ、少なくともAFの合焦を肉眼で確認(=「ちゃんとピント合ってる?」)するのが困難という感じではありません。また、露出の方でも、つまり1/3段SSが遅くなるとか、そういう感じでもないのが不思議です。ただ、中間リングを使う時だったかテレコンを使う時だったかにプラス補正が必要になる場合があるとかで、やはり若干の影響は出ているのでしょうね。

以上は余談(笑)。



さて、”RT”とは前回も触れた様に「Real Timeの頭文字」であり、つまり、開発で重きが置かれているのは、やはり ”瞬撮”性能で、「レリーズタイムラグの著しい短縮をメインスペックとしたプロ写真家向けに開発された機種」というキヤノンカメラミュージアムの紹介文の通りなのでしょうね。

ただその一方で、個人的に最も”新鮮”に思えたのは、「一眼レフなのに、レリーズ時にファインダーがブラックアウトしない」ことでした。



TVドラマ等で写真を撮るシーンがあると、画面の上下から黒い”幕”の様なものが出てきてカシャ!とか音がして、撮影している雰囲気を表現していた(少なくとも一昔前までは…ミラーレス主流になった今は、どうなってますかね?)位で、一眼レフでは『正に写った瞬間』というのは見えないもの、と相場は決まっていました。しかし、RTは一眼レフでありながら、それが見える!

「使うローライ」(良心堂)で、二眼レフ使いの海原修平さんがメリットとして挙げておられる”シャッターを切ったその瞬間”を見られること、それが、一眼レフの(=パララックスの無い)ファインダーで実現するというのは、使ってみると解るのですが、これは大きなアドバンテージです。

そしてその海原さんは、同時に「レリーズラグの短さ」をローライ二眼レフのメリットとして挙げておられるので、RTのコンセプト=「短いレリーズラグ、そしてレリーズ時に消失しないファインダー像」というのは、ホントに『流石、よく分かってるじゃないですかキヤノンさん!!』なのですよね。

こういう意欲的と言うか、”あったらイイのにな” 的なモノを作ってしまうのはCanonの大きな特徴と言って良いでしょう。他にも、例えば’70年代の「白胴超望遠レンズ」なんかもそうですよね(※ヨットレースの撮影の様な炎天下の使用に配慮して鏡筒のカラーを白にした600mmとか800mmとかの超望遠レンズを、豊富にラインアップしている)。



なお、(またちょっと余談めきますが、笑)RTのカスタムセッティング項目の14番目にはこの”短いレリーズラグ”を、F-1と同じ(これはNew F-1のことでしょう)にする、つまりワザワザ、タイムラグを大きくするというのがあります(写真が、その機能をONに切り替えた状態)。つまり、タイムラグは使い慣れたNew F-1と同じにして、ファインダー像消失だけを避けたい…というリクエストがあったということなのでしょう。
 Canon EOS RT<その3>_c0291635_13564308.jpg

それ程に「一眼レフで、レリーズ時のファインダー像が見えるというのは有用なことなのだ!」という、何よりの証左ですね!!



如何でしたでしょうか。ご興味を持たれた方は、是非一度…と言いたいところですが…今や、次代はミラーレス。撮ったら即、レビュー表示してくれるから「その瞬間」が見えるのが当たり前(爆笑)だもんなぁ。

「レリーズ時に消失しないファインダー像を、フィルムカメラ一眼レフで体験しよう!!」かな(やや苦しいかな)


…と、私も思ったのです。ところがところが!!!
(次回に続く)




by photographer_you | 2020-11-15 20:50 | ’80s camera


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