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2018年 01月 29日

Nikon F(”New F”)<その2>

「Nikon F の最終型ってのは分かった(前回記事 参照)けれど、“普通”のFと、何が違うのサ?」

New Fの一体何にそんなに惹かれるのか?
この辺り、もしかしたら中々理解され難いのかも知れません。


先ず、普通のFと異なるパーツは何か、と言うと、

・巻き上げレバーの、プラスチックの指当て
・セルフタイマーレバーの、プラスチックのチップ

がどうしても目立ちますが、これらに加えて

・シンクロ用の電極(巻き戻しクランク基部)周囲のプラスチック製カラー(襟)

も、黒色のものに変更されています。恐らくは、先の2つと揃えて、ということかと。



こういうパーツ
Nikon F(”New F”)<その2>_c0291635_19015290.jpg
…と、こちらのパーツ
Nikon F(”New F”)<その2>_c0291635_19022954.jpg
…が、最も目立つ特徴ですが、
加えてこちらも
Nikon F(”New F”)<その2>_c0291635_00365322.jpg
…ということですね(追記:この他に、シンクロソケットも外れ防止用のネジが切られたタイプに変わっています)。


しばしば聞く解説では、『ニューFは、Fの最後期型で、一部に「Nikon F2 のパーツ」を組み込んだモデルだ』…とされています。

但し。「セルフタイマーレバー」は外観から見て確かにその通りと思われるのに対し、「巻き上げレバー」の方はプラ製指当ての外観(シルエット)が同じというだけ?(レバー=金属部は明らかに異なる)の様だし、シンクロ電極のカラーも F2 とは違うので、この解説もイマ一つ正しくない様ではあります。

(後日談: 3つ目のカラーの件は、私の思い違いで、F2と共通かも知れません。詳細には比べていないですが…。⇒ 更に、後々日談: 改めてじっくりと見比べたところ、やはり、この電極カバーのパーツは、F2のものとは異なっていました。当然ながら形状は似ているのですが、ニューFのパーツの方が厚みがあり、またF2の方のパーツでは、後ろ側がナナメに面取りされていました)。


ま、それはソレとして。

実はレンジファインダー時代の「Nikon SP」にも、1枚目写真と見た目は全く同様な巻き上げレバー(=プラの指当て付き)が組み込まれた『報道用特別改造』(これも、そのように聞いている…というだけの話ですけど)という個体の写真があるんですね。

これは、言い換えると、“F登場時に引退”した先代に、“F最終期”のパーツが付いているってことです。なので、シロウトの当方としてはこの「ニューF」と、「F2」と、その「SP特装機」の位置関係が良く解りません。

ただ、Fの登場後も報道関係では暫くSPが併用される時代があったと聞いていますので、推察するにその「SP特装機」も、ニューFの時代に(=F2登場の直前に)までSPを愛用していたRF機ファンの報道関係者がいて、その要望で改造された…といった感じでしょうか(後日談: この辺り、詳しい方に伺って後に整理しました→ こちらをご参照)。


そう、『カメラを極めて実用的に使用する為の、操作性向上目的の改良(仕様変更)である』ということ。それこそが、New Fに惹かれる理由を代弁しています。

質実剛健を地で行くような真面目一直線のボディには露出計もなく、一眼レフとしては極めてプリミティブな“F”を、プロのツールとして更に研ぎ澄ます為の最小限の仕様変更…という処に、我々は畏敬の念を抱く訳です。

巻き上げレバーの指当ては解るけど、セルフタイマーや電極のカバーってどうよ? ソレ、プロ機の実用性と関係ないんじゃない??…という意見もありましょう。しかし!そこは“日本刀”や“戦艦大和”を、性能面からは勿論、美意識の面からも磨き上げた日本人のシゴト、なのではないでしょうか。これらの「黒」のパーツが効果的なポイントに配されたことで、単体では不釣り合いにでっかい巻き上げレバーが「後付け感」無しに調和し、戦闘的なイメージを醸し出している様に思うのです。

そういう意味では、New Fに関してはクローム(シルバー)も良いものです。勿論、Fのブラックは、カッコイイんですけどね。



( 続く → こちら




by photographer_you | 2018-01-29 21:54 | ~′60s camera


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